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  • 執筆者の写真Aiko Sada

恩師である相賀先生の退官に寄せて

大学院のときの恩師である相賀裕美子先生(国立遺伝学研究所)の退官記念シンポジウムに参加してきた。相賀先生の最終講義とOBOGによる講演を聞くと、先生がキャリアを通じて明らかにしてきた数々の科学的発見はもちろんのこと、分野への長期的な貢献、そして何より多様な領域、職種で活躍する弟子が多く育ってきたことが本当に偉大だと思う。自分がPIになった今、先生のような寛大さでラボメンバーをサポートできてるかな?厳しくも楽しかった相賀研のような環境を作れてるかな?と、改めて思う。私も卒業して10年以上経つのにこんなに元ラボメンバーと仲が良く、かつ同世代を生き抜くライバルとして切磋琢磨できるってところも、相賀研はすごいな。学生としてラボにいたときには、好奇心の赴くまま自由に楽しく研究させてもらっていたけど、それは当たり前のことでは決してなくて、そういう環境を作ってくれていたのだな、と。


「研究は、人だ。」と先生も最終講義の中で言っていたけど、それは私も実感する。いくら良いアイディアがあっても、技術を持っていても、予算があったとしても、やはり一緒に研究をしたいとラボに人が集まってくれて、研究のサポートをしてくれる技術補佐員や事務補佐員がいてこそ、良い研究ができる。PI一人の発想にはやはり限りがあって、学生やポスドクが見つけてくる思わぬ発見や期待以上の結果というのが、研究の真のドライビングフォースなのではないかな。


もちろんラボに入ってくる人が最初から全員できたというわけではなくて、相賀研は教育されて人が育つという環境だった。毎朝Developmental Biologyの教科書の輪読会があるのに加え、プログレスやJCもけっこうな頻度で自分の発表の順番が回ってきて、実験に勉強にプレゼン準備に日々のディスカッションに、ついていくだけで毎日いっぱいいっぱいだったけど、あの時代があったからこそ基礎的な研究の力がついたのだと思う。プレゼンも、英語も、相賀研や遺伝研で学んだことが、ポスドク以降のキャリアでも確実に活かされている。今となっては、私も「厳しいボス」と自分のラボメンバーに思われていると思うが、学生やポスドクのポテンシャルに期待するし、一研究者としてしっかりトレーニングを積んで、成果を出して次に繋げてほしい、というスタンスでやっている。


相賀先生は、私のテーマを継いでくれた弟子がいないのよとおっしゃっていたけど、対象の臓器や分子こそ違えど、ラボの色というのは、確実に受け継がれている。遺伝学的アプローチを使いこなせる基盤があるからこそ、それでは出来ない限界や、新しいテクノロジーと組み合わせて分野を開拓していくことの重要さを皆よく知っているのだと思う。


研究者のキャリアは一人ひとり違うので、ロールモデルというものをあまり意識していなかったけど、女性PIとしてやってくことの苦労が今よりも大きかったであろう時代に、いつも元気でアクティブに研究する強くて優しい相賀先生の背中を見ていたから、私は今でもアカデミアに残ってなんとか研究できているのだと思う。残念ながら、日本ではジェンダーバイアスが強く、私が大学院の頃には、「女性は、学生の時にいくら優秀でも成功しないんだよね」などと悪気なく言ってくる人も多かったのだけど、身近に相賀先生のような人がいると、自分の将来像を想像できて、自分もやれるのではという気分になる。これは女性の学生やポスドクにとっては大きい。私も後に続けるように。少しでも後進の女性研究者が、必要のない苦労をせずに研究に集中でき、きちんと評価される時代を作れるように。


それにしても、あれほどラボメンバーに愛されているボスっているかな?!と改めて感じる楽しいひとときでした。相賀先生、改めて今までお世話になりました。これからも頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いします。


佐田

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